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GLP-1受容体作動薬「マンジャロ(tirzepatide)」は、週1回の注射で強力な食欲抑制と体重減少効果をもたらす“次世代の痩身治療”として注目を集めています。実際、多くの方が半年〜1年で10〜20%の体重減少を経験されます。
しかし、真の課題は「痩せた後」にあります。マンジャロによって体重が減った方の中には、薬をやめた途端にリバウンドしてしまうケースが少なくありません。ある臨床試験では、治療中止後1年以内に約2/3の体重を再増加したというデータも示されています。
本記事では、GLP-1治療の終了後もスリムな体型をキープするための戦略と、当院で行っている多角的サポートについてご紹介します。
◆なぜ「痩せたあと」に太りやすくなるのか?
マンジャロによる減量後、リバウンドが起こる理由は複数あります。
【1】食欲が戻る
マンジャロは脳の摂食中枢に作用して「食欲そのものを感じにくくする」働きがあります。治療終了後、この作用が消失すると、以前のような食欲が戻り、無意識に食事量が増える傾向があります。
【2】筋肉量の減少
体重が減る過程で、脂肪だけでなく筋肉も失われている場合、基礎代謝が低下し、痩せにくく太りやすい体質になります。特に筋トレを併用していない方では、体重減少の20〜30%が筋肉減少に由来することもあるとされています。
【3】「薬があるから大丈夫」という油断
マンジャロは“魔法の薬”ではありません。食事や運動を軽視したまま薬だけに頼っていた場合、薬をやめた瞬間から生活習慣が崩れやすくなるのです。
◆GLP-1中止後の体重維持に重要な3つの柱
① 筋肉を維持・増強する「運動習慣」
最も重要なのが筋肉を守ることです。マンジャロ使用中から始めることが理想ですが、終了後においても筋トレと有酸素運動を組み合わせた「週3回以上の運動習慣」が推奨されます。
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筋トレ(スクワット、腕立て伏せ、マシントレーニングなど)週2〜3回
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有酸素運動(ウォーキング、サイクリング、水中運動など)週150分以上
筋肉量が保たれることで、エネルギー消費が維持され、食べても太りにくい体質になります。
② 続けられる「食事習慣」
マンジャロ終了後は、少量で高栄養な食事パターンを継続することがカギです。
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朝食を抜かず、3食規則正しく食べる
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たんぱく質は毎食しっかり摂る(目安:1.2〜1.6g/kg/日)
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精製糖質やジャンクフードは“時々”の楽しみに
また、味覚や食の嗜好がマンジャロ使用中に変化する方も多くいます。「以前は揚げ物が好きだったのに、今は野菜が好きになった」など、こうした“良い変化”を活かし、無理のない自然な食習慣へと昇華させることが大切です。
③ メンタルと環境の整備
減量後の生活では、ストレス・睡眠不足・孤独感が体重再増加の要因になります。
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睡眠は1日6〜8時間、一定のリズムで
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ストレス解消に運動や趣味を活用
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可能であれば家族や仲間と「一緒に健康を楽しむ」環境を作る
当院では、こうした心理・社会的サポートにも配慮したカウンセリングを行っています。
◆当院での「継続支援」プログラム
マンジャロ治療後の体重維持をサポートするため、当院では以下のような継続支援を行っています。
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InBody測定による筋肉量・脂肪量の定期評価
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管理栄養士による個別食事プラン作成
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LINEやアプリでの食事記録・フィードバック
マンジャロをきっかけに“自分の体と本気で向き合う”時間を過ごした方々が、薬がなくても健康的な体型をキープできるようになることを目指しています。
◆まとめ:「痩せること」より、「続けること」が難しい。でも可能です。
マンジャロでの減量は素晴らしい成果ですが、それを一時的な成功に終わらせず、「一生の財産」に変えるには、体・心・生活全体を見つめ直す総合的なアプローチが欠かせません。
薬の効果に頼るのではなく、それを次の生活改善への“橋渡し”とする考え方こそが、マンジャロ治療の真価を発揮させます。
「もう太りたくない」「人生最後のダイエットにしたい」
そう願うあなたを、私たち医療の力で全力サポートいたします。